解雇をするにはどうしたらよいか?

 まず最初に申し上げておきたいのが、解雇は簡単には出来ないというご認識を持っていただきたいという事です。人を雇用するという事は非常に重い責任が企業様に課されますので、法律において、解雇については厳しい制限が設けられています。

 ただし、企業様と社員との話し合いの上、お互いに納得して退職する場合(合意退職)や、社員の事情による退職(いわゆる自己都合退職)の場合は解雇には該当しないのでご留意ください。

 以下8項目に分けて、トラブルの基である”解雇”について、企業様の立場から記載させていただきました。ぜひ、ご参照いただければ幸いです。

 

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”解雇”とは何か?

 ”解雇”とは「企業様が一方的に、社員との雇用契約を終了させる」という事です。社員に対して、いきなり「あなたを解雇します」とは出来ないので、法律によってルールが決められています。そのルールに則って、企業様は社員を解雇する必要がございます。

 

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”解雇”の種類

 ”解雇”には通常、次の4つの種類がございます。どの種類の”解雇”の場合でも大前提として、法律や就業規則に定めている”解雇”の要件を満たしていることが必要です。

 

@懲戒解雇

 企業様のお金を横領した等の重大な違反行為をした場合に解雇することをいいます。ただし、注意が必要なのは、「重大な違反行為」は企業様の観点ではなく、社会的な観点から判断されるという点です。

 企業様としては、「これは懲戒解雇に当たる」と判断して解雇したとしても、解雇された社員が「不当解雇だ!」と問題にされるケースも多々ございますので、労働基準監督署による解雇の認定(下記をご参照ください)を受ける事をおすすめいたします。

 

A諭旨解雇(ゆしかいこ)

 一般的には懲戒解雇されてもいいところを、本人に反省が見られる等の情状酌量の余地がある場合に、企業様が社員に対して、退職を勧める(社員本人から辞表等を提出させる)ことをいいます。ただし、通常は就業規則等で「この勧告を拒否した場合は懲戒解雇とする」と規定したりします。諭旨解雇の場合は「解雇予告手当」や企業様が就業規則等で規定している場合には退職金も支給されるケースも多いです。

 

B普通解雇

 社員の勤務態度(無断欠勤や遅刻が多いなど)、仕事の能力などを理由に行われる解雇を言います。企業様がイメージされている解雇のケースで一番近いのがこちらになります。

 「無断欠勤したのだから解雇だ!」とお考えになる企業様も多いとは思いますが、解雇に該当するかは、様々な要素から判断されるため、一概には言えません。無断欠勤した社員が悪いから解雇できると考えるのは心情的にはわかりますが、企業様の主観になってしまいます。

 あくまで最終的には社会一般的に”解雇”に該当するかどうかが問われるので、例え企業様の就業規則等で解雇の要件を規定していたとしても、”解雇”に該当しないと判断されてしまったら、”解雇”には該当しない事になります。ここが落とし穴で、「不当解雇だ!」と解雇した社員から訴訟を起こされて、多額の賠償金を支払わなければならなくなったケースも少なくありません。

 そうならない為にも重要なのは、就業規則等でこういった場合には「解雇しますよ」としっかりと規定し、その内容をしっかりと社員に告知し、心情的には解雇したい事が起こってもまずは「始末書」等を提出させて反省させ、それでも改心しなければ減給や降格等(就業規則等に規定している事が大前提です)を実施します。それでもまだ改心しなければ解雇せざるを得ないというプロセスをしっかり作る事が非常に重要です。

 

C整理解雇

 企業様が倒産を避けるためにリストラせざるを得ないという事で行われる解雇のことです。この場合は社員に非がなく、企業様の都合で実施されるという事もあり、非常に厳しく、複雑な用件が法律によって定められています。

 ”整理解雇”をする場合は、一般的な解雇の要件に加えて次の4つの要件が必要になります。

 

1.会社の倒産危機等、客観的に見て解雇しなければどうしようもない状況である

2.役員報酬削減、新規採用の取りやめ等1.の状況を避ける為に企業努力がなされたかどうか

3.解雇対象者の選定が公平で合理的に行われているか

4.”整理解雇”を実施するにあたり、社員が納得するまでの説明や話し合いがされているか

 

 こちらは複数人以上の解雇が発生するため、「クビを切らなければ、会社が倒産するのだからしょうがないだろう」と企業様の判断で実施した場合は、非常にトラブルになるケースが多いです。「整理解雇」の場合は、専門家の社会保険労務士や弁護士にご相談される事をおすすめいたします。

 その他の問題解決方法としては、労働局が無料で実施している個別労働紛争解決制度を利用するのも有効な方法です。

 

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社員を解雇する場合

(1)30日前までには社員に解雇する事を伝える必要があります。

@例えば、8月末日に解雇したい場合には、8月1日までに社員に伝える必要があります。

9月末日で解雇したい場合には、8月31日までに伝える必要があります。
A”30日”というのは、カレンダーの暦どおりに計算します。
B残っている有給休暇を取る場合でも、その日数もカウントします。


(2)すぐに解雇をする場合は、(解雇をする日以前の3ヶ月間に支払った通勤手当等を含む賃金の合計額※)÷(解雇をする日以前の3ヶ月間の総日数※)×30日以上の「解雇予告手当」というものを支払う必要があります。

※仕事中にケガをして休んでいる期間等は計算の基礎からは除外する必要があるので、注意が必要です。

・この「解雇予告手当」は解雇する日に支払う必要があります。


(3)上記の(1)と(2)を合体させた方法もあります。
・例えば、9月15日の時点で、9月末日に解雇したい場合は、9月15日に上記(2)の「解雇予告手当」を15日分を支払い、末日に解雇するという事も可能です。
・上記の(1)+(2)が30日以上になっていれば、この合体させた方法も可能という事です。

 

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解雇の効力について

 事業の縮小などにより、解雇をしなければならない事は決まっていても、具体的にその時期が決まっていない場合があります。しかし、解雇を予告した時点、例えば、「具体的な時期はまだ決まっていませんが、あなたは解雇の対象です」と社員に対して伝えた場合には、解雇の効力は30日経過後に生じてしまいます。

 解雇の意思を社員に伝えたら、自動的に30日後には解雇の効力が生じてしまうので、注意が必要です。

 

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解雇する事を社員に伝えなくても良いケース

 下記に該当する場合は、解雇する事を事前に社員に伝えないで、いきなり解雇する事ができます。 

 

・地震や台風等の不可抗力により、会社(ある一部の事業部門でも可)を続ける事が不可能となった場合

・社員が、窃盗、横領、傷害などの罪を犯したり、賭博をしたり、または会社に入社するために経歴をごまかしていた場合

 

 ただ、1点注意点がございまして、解雇する前に労働基準監督署の認定を受ける必要があります。こちらの認定がないといきなり解雇をする事が出来ませんので、十分ご留意ください。

 

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労働基準監督署による解雇の認定について

 労働基準監督署長の認定は、実際に社員に解雇を伝える前に受けておかなければなりません。

 労働基準監督署から認定が下りるまでに通常3週間位はかかりますので、解雇を伝える時期を考えながら、解雇の認定申請手続を進める必要があります。

@「解雇予告除外認定申請書」という所定の書類を記入の上、企業様の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。

A申請書以外に「解雇について定めている就業規則」、「解雇になった経緯を示す書類」(始末書等)、「労働者名簿」等が主に必要になりますが、管轄の労働基準監督署により添付書類が異なるため、事前に確認していただく必要がございます。

Bこの申請を行った場合には、労働基準監督署が解雇される社員本人に、面談(解雇に至った経緯について)を行いますので、事前に解雇をする社員にはその旨を伝えておいた方がよいかと思います。

C「解雇予告除外認定申請」は解雇した日から3年以上は企業様で保存する義務がございます。

 

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解雇を伝える必要のない人

 下記に該当する人には、解雇を事前に伝えないでも解雇する事ができます。下記に該当しない人はすべて、解雇を事前に伝える必要がございます。

@日雇いの人
A2ヶ月以内の雇用契約期間の社員
B4ヶ月以内の雇用契約の人(季節労働者)
C入社して14日以内の試用期間中の人

 

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”解雇”についてのその他の注意点

 今までのご説明からもおわかりいただけると思いますが、”解雇”は非常にナイーヴな問題を含んでおります。ただ単に事前に「あなたは解雇です」と伝えるだけで解決する問題ではありません。法律的に対処する事も重要ですが、それよりももっと重要なのが、解雇する社員やその他の社員に対しての心のケアです。

 人に対しての対応になりますので、システマティックに「あなたは就業規則第〜条に該当しましたので、解雇します」と処理されるよりも、企業様として(人としてと申し上げた方がよろしいかもしれません)、解雇しようとしている社員と納得いくまで話し合う事が実は一番重要になってきます。そうする事によって、”解雇”ではなく、円満に”合意退職”という形になるかもしれません。

 すぐに解雇という極端な措置をするのではなく、まずはその社員に弁明の機会を与える事から始めることをおすすめいたします。この弁明の機会を与えないばっかりにトラブルに発展するケースが本当に非常に多いのです。これは法律とかは全く関係なく、人としての心情的な問題なのです。トラブルに発展してしまった後では修復するのは非常に困難になってしまいます。そうならない為にも私どものサイトが少しでもお役に立てれば幸いです。

 

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